今から10年後。社会はどのように変化しているでしょう。わずか10年であるが第4次産業革命やSociety5.0といった新しい社会の到来に代表されるように,予測困難な時代が続くことは疑いないでしょう。一方,2017年に120万人だった18歳人口は,2030年に103万人,2040年に88万人まで減少すると予測されています。こうした背景を受け,我が国の高等教育機関は,その果たすべき役割や方向性について将来像を描くことが求められています。
佐賀大学は,2006年に宣言した「佐賀大学憲章」に基づき,「佐賀大学中長期ビジョン」(2008~2015年), 「佐賀大学改革プラン」(2015年~)のもとで,第1期から第3期の中期目標・中期計画を遂行してきました。高等教育を取り巻く状況が急激に変わろうとするなか,2030年までの10年を見据えたビジョンは,2022年度から始まる第4期中期目標・中期計画の策定の土台となるものであり,高等教育機関として佐賀大学が進むべき「これから」を示す羅針盤となります。
ビジョンの骨格は,『教育』『研究』『社会貢献』『大学運営』の4領域です。これらに共通する重要な点は,予測困難な時代を生き抜くことができる“強い佐賀大学”となるための本質的で主体的な改革です。他律的な政策に拘泥し,手段が目的化することなく,本学が抱える課題を解決し,さらに発展するための自律的な取組を生み出すことを目指して本ビジョンを策定しました。また,2030年までの国際社会共通の目標として国連で定められた「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」に配慮し,人類が直面する課題にも貢献する意思をビジョンに含めています。
2030年に向けて佐賀大学が目指す3つの大学像があります。1つ目は,学生,卒業生,教職員といった本学に関わる人々が自信を持って誇れる大学です。2つ目は,受験生に限らず学問を追究する人々が本学で学びたいと率先して選びたくなる大学です。3つ目は,企業,自治体,市民等を含む地域社会から本学ならば必ず期待に応えてくれると信頼される大学です。これら3つのあるべき姿に向けて,学生を含む全ての構成員が「志」を持って挑戦し,未来(これから)を創造することで,佐賀大学憲章が謳う理念を実現する。そして,地域とともに未来に向けて発展し続ける大学を目指します。
佐賀大学学長
兒玉 浩明